1. ⾃分と他者の⼼の動きは違うことを理解する力
    (心の発達)

  2. 気持ちを共有し、他者を思いやる力(心の発達)

  3. 言葉を理解し、伝える力(言葉の発達)

~ 2018年度の実験 ~

「お人形を使ったごっこ遊び」を10分間母と子で行い、その会話や行動を記録。 子どもが乳児向け音声を使ってお人形に向けて話しかける割合を検証。

「お人形遊び」時間の長い子どもは時間の短い子に比べ、乳児向け音声を使ってお人形に話しかける割合が高いことがわかりました。乳児向け音声をお人形に対して使えることは、お人形が自分よりも小さくて弱い別の心を持つ存在であることを理解し (他者理解)、積極的に関わろうとする気持ちがあることが示唆されます。

~ 2019年度の実験 ~

自分と他者では異なる好みや考えがあることの理解など、心の発達段階は様々です。 実験では段階の異なる4つの心の理論課題を行っています。
その中で差が出た「誤信念課題」とは、自分の知っていることと他人の知っていることが同じではない、ことを理解しているかを評価する課題です。

(参考)ニュースクリップ〜お世話⼈形がおもいやりの⼼を育む〜(2018年)
https://www.pilot-toy.com/topics/docs/20180605.pdf

「お人形と親とのごっこ遊び」では、遊びスクリプトにそって大人がお人形の気持ちを言葉にすることで、子どもに「他者」「相手の気持ち」という認識が高まりました。これにより「⾃分の⼼の動きと他者の⼼の動きは違う」ということに対する理解が進み、4歳未満では正答率が低いとされるこの実験でも、正答が見られました。

2歳頃の子どもは「自分の見たもの、知っているものは他者も同じ」と考えていて自分と他者の気持ちの分離ができていません。大人が「メルちゃんの気持ち」を代弁してあげることで、他人の気持ちを理解する力が育まれます。子どもは、自分の中のもやもやした感情を言葉にすることが、まだ上手ではありません。大人が一緒にお人形で遊ぶ中で、「メルちゃん、お腹空いたのかな」「悲しいのかな」など、気持ちを代弁してあげると感情の理解につながります。

皆川泰代教授
慶應義塾大学 文学部心理学専攻
赤ちゃんラボ主宰

~ 2018年度の実験 ~

子どもが、ぬいぐるみ・パペットへ指さし・視線で「かわいい」等の感情を示した上で、その気持ちを大人と共有しようとするか。

「お人形遊び」時間の長い子どもは、他者と気持ちを共有できる割合が高いことがわかりました。

~ 2018年度の実験 ~

実験者が手をはさんだ時、子どもがなぐさめたり、手を触ってくれるか。

「お人形遊び」時間の長い子どもはなぐさめ行動をする割合が多いことがわかりました。

お人形遊びは、お人形の気持ちを想像し、話しかけたりお世話をしたりする、高いコミュニケーション能力が必要とされる遊びといえます。ひとりでのお人形遊びももちろん良いですが、大人と一緒に遊びながらお子さんに言葉をかけたり、お人形の気持ちを代弁してあげたりすると、より心の発達が促されることが最近の研究でわかっています。
大人がお人形を使って子どもに話しかけることで、子どもも話したい気持ちになったり、第3者であるお人形が考えていることがわかりやすくなり、気持ちを想像し、伝えようとする気持ちも強くなるといえます。この心の理解の発達と言語の発達は強い関係があると言われますので言語発達も同時に促されると考えられます。

~ 2019年度の実験 ~

「質問―応答検査」という言語検査で、日常的会話のやりとり能力の評価や、短い文、長い文などを口頭で読み上げ、その理解を質問応答で評価するような内容です。

例)「けんたくんは 昨日 お父さんと 公園で ボール遊びを しました」という文を読み上げた後に、いつ、誰が、何をしたか等の質問を別々に行いました。

「お人形と親とのごっこ遊び」を通して、子どもが「他者の気持ちを理解できるようになった」ことで、複雑な関係性の理解力が高まり、言語課題で出されたやや長めの文の理解力が高まりました。心的状態の言語化をしやすい「お人形遊び」を通して言語発達が進んだことが考えられます。

~ 2019年度の実験 ~

お人形を使ったごっこ遊びと、パズル遊びを母子で各7分実施。
それぞれの遊びでどのような発話や行動が見られるか。

心やことばの発達のためには心の状態や感情についての言葉がけや その使用が効果的と言われていますが、お人形遊びのほうが母子ともに そのような「心」についての発話がとても多くなることがわかりました。 さらに母の全体の言葉かけの量についても「お人形遊び」の方が多いという 結果でしたので、お人形遊びは心の状態や感情についての 言葉がけの量も増やすことで、子どもの「心の発達を促す言葉」を 自然に引き出しやすい遊びといえます。

子どもの全発話数に対する
各発話タイプの割合

自分や他者の心の状態を理解するなどといった心の発達が、言葉の発達と深い関係にあることが20年程前から指摘されるようになりました。実際に心の状態を言語化する会話を多くすることが子どもの言語発達を促すことも報告されています。これらの研究にも一致して、2019年のメルちゃんを使ったごっこ遊びの研究では心の発達とともに言語課題の成績も伸びることが示されました。また、お人形を使ったごっこ遊びは言語発達を促すと言われる心の状態を言葉にするような会話を引き出しやすいこともビデオ観察実験から示されました。ひとりでのお人形遊びももちろん良いですが、一緒に遊びながらお子さんに気持ちを表す言葉を積極的にかけることでお子さんの言葉も伸ばしてあげましょう。

実験方法

2018年研究は 女児2.5歳~3.5歳児50名を対象 実験までの自宅での「お人形遊び時間が長いグループ」と「短いグループ」の比較実験

2019年研究は
男児3.0歳~3.5歳児60名を対象
対象者をA、B、C群に分け、下記の条件での一週間のごっこ遊びの前後で実験課題を与え、課題スコアの変化を比較 (本頁ではこのうちA、B群だけを示しています)
A群・・・子ども・母親・メルちゃんの三項関係で心的状態を言語化・視覚化した遊びスクリプト使用
B群・・・子ども・母親の二項関係 心的状態を言語化・視覚化した遊びスクリプト使用
C群・・・子ども・母親 心的状態言語化・視覚化のない遊びスクリプト使用

本頁ではいずれも上記の比較で統計学的に有意な差が出たものを示しています

慶應義塾大学との共同研究で『メルちゃん』 遊びによるお子様へ与える影響の研究※を行っています。
最新の共同研究で『メルちゃん』でのお人形遊びが、男の子の言語能力の発達と、心の発達に良い影響を与えることがわかりました。
※慶應義塾大学 ⾚ちゃんラボ主宰 皆川泰代教授と共同研究『お人形遊びのこころの発達「めばえる やさしさ おもいやり」の実証』

皆川泰代教授
慶應義塾大学 文学部心理学専攻
赤ちゃんラボ主宰

「男の子なのにお人形遊びが好きで…」と心配する保護者が多いのですが、実は男の子にとっても、お人形遊びは心の発達を促す良い遊びなのです。 これまでの「男の子ならこの玩具」といった考えが、男の子の発達の可能性を狭めていたこともあるかもしれません。一般的に男性の方が人の気持ちを察するといった心的状態の推察が苦手な傾向がありますが、お人形を用いたごっこ遊びで他者の心を理解する力、相手の痛みに対して共感する力などを含む「社会情緒的能力」がよりよく育まれる可能性は高いです。小さいころから学力を一生懸命に伸ばすよりも、小さいころこそ自然な遊びの中で楽しく「社会情緒的能力」を伸ばすことで社会に羽ばたいていく力につながっていきます。

思いやりの心を育む
お世話人形「メルちゃん」

お子様と保護者に寄り添い、健やかな心身の
成長を見守る愛育ドール「メルちゃん」に
これからもどうぞご期待ください。